少部数コピー本ならでは!用紙にこだわってみる
用紙についてはだいぶ沼なので、ここでは代表的な用紙を主に紹介します。
表紙の用紙をちょっと変わったものにする
コンビニでの用紙は決められていますが、自宅のインクジェットプリンターや、コピー専門店では、持ち込みによる特殊紙も使用できます。特殊紙は、大きめの画材屋さん、文房具屋さんはもちろん、街の文房具屋さんでも取扱いがあることもあります。
インターネットの通販でもありますが、できるだけ手元で用紙を確認してから決めた方が良いでしょう。
ただ、コピー専門店でのトナーには向いていない特殊紙もあります。大量に用紙を買いこんでしまう前に、コピー屋さんに、対応しているか確認することをおすすめします。なお、キンコーズさんで持ち込み使用できる用紙は「レーザープリンター用」です。
自宅用のプリンターはインクジェットが多いですが、キンコーズさんとは印刷方式が違うので、色も同じようには出ませんし、対応できる用紙も違います。特殊紙にしたいなと思ったら、まずは対応の用紙か確認をすることをおすすめします。
表紙に使うと可愛い特殊紙のうち、代表的な用紙を挙げます。
タント | 100~130、180kgくらいまで。インクジェットにおすすめ。カラーが豊富で、取り扱っているお店も多いです。100kgくらいのものは少し薄めなので、遊び紙としても使えます。 |
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マーメイド | ぽこぽこの質感がやわらかく、優しい印象。インクジェットに。160kgくらいが表紙向けです。色も豊富で、取り扱っているお店も多く、タントと並び、手に入れやすい特殊紙の代表的なものです。 |
レザック | レザックにも何種類かあり、一般の文具店で取り扱っているものでは「レザック66」が多いです。牛皮風のテクスチャーで高級感があります。印刷所さんでよく取り扱っているのは「レザック ろうけつ」、染めろうけつ風のデザインです。レザックは、印刷としては強いですがインクジェットには弱いので、自宅プリントには向いていません。また、キンコーズさんではカラーのみ受け付けています。 |
波光(はこう) | 白さが美しく、紙の繊維が優しい手触りの用紙です。和風にも洋風にもよく合います。インクジェットでは色も鮮やかにプリントされますが、トナーには不向きのため、コピー専門店では事前に相談をしてください。 |
その他、ファーストヴィンテージ、OKサンドカラー、里紙あたりが手に入れやすいです。クラフト用紙も、コピー本としてはとても可愛いのですが、種類によってはトナーをはじいてしまうため、不向きなものもあります。
購入前に、インクジェットでプリントするのか、コピー専門店に持ち込むのかよく考えてから買いましょう。また、色上質は厚さも色の種類も豊富で、高級感があり万能です。迷ったらまずは色上質をおすすめします。
本文の用紙を変えてみる
小説サークルさんに特におすすめしたいのは、本文用紙の変更です。印刷所さんでも使える書籍用紙に「クリームキンマリ」を使うと、ぐっと本文がグレードアップしたような気分になります。
24ページ未満くらいのページ数であれば少々厚めでしっかりした90kg、もう少し厚くなるようであれば、綴じるのが大変になってくるので、もう一段階薄い72.5kgでも良いでしょう。
小説でも漫画でも、表紙の厚み・硬さと本文用紙の薄さが大きく離れると、読みにくさを感じる原因になってしまいます。コピー用紙が本文であれば、表紙はコートなら135kgくらいがちょうど手になじみます。特殊紙の場合は、160kgまでを目安に選ぶようにすることをおすすめします。
漫画や小説の内容に合わせた色上質紙で、本全体の雰囲気を作るのもおすすめです。
購入時、紙に「Y目」という表示があればベストです。これは「ヨコ目」と読み、用紙の繊維が横方向に走っていることを指しています。つまり、用紙をA5サイズにするために半分に折るのに適しているのです。
「T目(縦目)」の用紙は逆に、縦方向に半分に折りやすくなっています。用紙には全て「紙の目」があり、折りやすい、切りやすい、破りやすい、裂けやすいようになっています。
基本的には、本はすべて、同じ紙の目で作られています。コストを下げるために目がそろっていないこともありますが、そうすると読んでいるときに何となく指がひっかかることがあり、違和感を覚えます。
2018.8.30追加/キンコーズさんでできる、表紙カラー・紙替え出力→中綴じ仕上がりについて
キンコーズで出来る小冊子印刷(最初から中綴じされてて表紙の紙替えも出来るコピー本)の仕方をまとめてみました。店員さんとお話するのが恥ずかしい人は1~3までは自宅で用意すると心が疲れません。全体の利用時間は32頁30部で35~40分くらいでした。 pic.twitter.com/amRx7Kv2BN
— 🍎<のび太の宝島オススメ (@silflo_2) 2018年8月29日
キンコーズさんでは、出力(データのプリントアウト)をして、表紙はカラー+中身はモノクロ+さらに紙替えにも対応しているようです。しっかりとした用紙を別途多数用意してくださっているので、用紙を選んで表紙にできるのは嬉しいですね。(引用許可ありがとうございます!)
装丁を少し工夫してみるー初心者向け
表紙や本文にほんの少し手を加えると、さらにオリジナリティが出ます。
遊び紙を楽しんでみる
表紙をめくって本文との間にぺらっと挟まっている紙を「遊び紙」と言います。本来は、本の体裁を整えるための白紙ですが、同人誌ではこれも装丁のひとつとして楽しめます。
- トレーシングペーパーをはさむ
- 本文とは違う色の用紙をはさむ
表紙にはできないけれども好きな紙をはさんでみたりと、遊べる箇所でもあります。また、表紙では描ききれなかったものをカラー口絵にすることもでき、表現の場を広げることもできます。
トレーシングペーパーは、遊び紙の他に、表紙の外側にカバーのようにして使ったり、帯にしたりもできます。厚手のものから薄手のものまであるので、さまざまに使ってみましょう。
トレーシングペーパーは、コピー本ではさまざまな使い方ができる!遊び紙、外表紙、帯など、個性的な本作りに役立てよう。
クラフトパンチで型抜きをしてみる
手作業になりますが、クラフトパンチで表紙に穴をあけ、下から覗く遊び紙の色を見せたり、3ページめの絵を見せたりすることもできます。クラフトパンチにはさまざまな形があるので、何種類か組み合わせても、1種類を効果的に使っても可愛いですね。
また、クラフトパンチで厚く重ねたマスキングテープに穴をあけて「原型」とし、表紙にかぶせて上からマニキュア→トップコートを塗るなどすると、ニス盛りっぽくなります。だいぶ手間はかかりますが、特殊加工をしているようでとても楽しい作業です。
マスキングテープで装飾してみる
コピー本はどうしても、オフセット本やオンデマンド本にくらべて、耐久力が弱いです。そのため、本の耐久性を上げたり、補強をしたりという意味でも、マスキングテープでの装飾は有効です。
ただし、ベタベタ貼りすぎると方向性を見失う結果になるので、背表紙のホチキスを隠したり、効果的に数本だけ、など工夫をしましょう。
ラメシールやグロス的なシールで特殊加工風に
シールを貼って可愛く仕上げることができるのも、手作業ならではです。グロス加工のようなシールを貼ったり、ラメがキラキラしているシールを貼ることで、オフセットで言う「ニス盛り」「箔押し」のような見た目に近づけることができます。
これもまた、やりすぎると方向性を見失うので、使いどころを絞るのが効果的でおすすめです。
- タイトル部分だけ
- 人物の瞳や、効果的な小道具部分にだけ使う
- 背景の一部にだけ使う
など、決めてからでないと、「空間が埋まっていないと気になる病」になってしまいます。事前に紙にデザインを起こしたり、仕上がりイメージをPCの画面上で作っておくようにしましょう。
金マッキー
- タイトルのロゴを何となくかっこよくしたい
- 箔押し気分を味わってみたい
- ちょっと豪華っぽくしてみたい
「タイトルは、かっこいいロゴをフォトショップで作ってキメたい・・」と思っても結局明朝やゴシックを並べるだけになってはいないでしょうか。
それも、マッキーで書くことで箔押しっぽくなります。自分で書く字に自信が無ければ、薄い色で下書きをプリントして、上から塗れば間違いありません。あえて崩した字で流れるようにさらさらっと書くタイトルもありです。
タイトルの他にも、模様や人物の一部分に使うことで、とても印象的な表紙になります。
金や銀のマッキーは、メーカーによって金ピカ、落ち着いた金、など差があるので、いろいろな種類を集めて使い分けてもいいですね。
まとめ
コピー本は、自分でコピーし、製本をする手作業の本です。少部数であれば、いくらでも手をかけたり、工夫を凝らしたりすることができます。
カラーの表紙ではなくても、色のついた特殊紙に特殊効果を施してみたりと、さまざまなことができ、さらに本に対して愛着がわきます。オフセットやオンデマンド印刷で「本」らしい本を出すのと同時に、コピー本の良さに目を向けることも、おすすめします。
「まずはコピー本」の人も「今回はコピー本」の人も、自分だけのコピー本を作って、同人誌作りを楽しみましょう。