コピー本は、同人誌の基本とも言えます。現在オフセットなどで同人誌を作っている人でも、コピー本を出した経験がある、という人が多いのではないでしょうか。そんな基本的なコピー本ですが、印刷が身近になった今でも多くのメリットがあり、その文化がすたれることはありません。
この記事では、コピー本を作ってみたい、という人向けに、基本的な入門編としての作り方をご紹介します。
※この記事は2ページに分かれています
コピー本とは
コピー本は「コピーをして作った本」のことです。印刷屋さんに発注して印刷をした「オフセット本」「オンデマンド本」とは異なり、主にコンビニや、コピー専門店などでコピーをし、製本をしたものがコピー本と呼ばれます。
身近なコンビニなどで作成できることもあり、初めての同人誌ではコピー本を選ぶ人もとても多いです。自宅のインクジェットやレーザープリンターで出力・製本をしたものもここに含まれると言って良いでしょう。
コピー本のメリット
欲しい時にすぐに作れる
原稿ができしだい、コンビニなどに駆けこめばすぐに作れます。入稿をして印刷・製本・発送(搬入)をしてもらうため、少なくとも数日はかかる印刷に比べて、その場ですぐに作れてしまうのも、コピー本の魅力です。
そのため、印刷所の締め切りに間に合わなかったときや、突然何かに目覚めたり燃料があって突発的に本を出したくなってしまったときに、強い味方になってくれます。
欲しい数だけ作れる
印刷では50部、100部といった単位の発注でも、コピー本は「15冊」など好きな数で作ることができます。そのため、少部数でも手軽に発行できます(厳密に言えば、オンデマンド印刷も好きな数だけ作れます)
印刷代と比べて比較的手ごろな値段で作れる
片面1枚5~10円、両面1枚10円~20円と、比較的金銭的な負担が少なくて済みます。表紙に凝ったり用紙にこだわったりすれば、その分だけかさんでいきますが、それもコピー本の楽しみです。
コピー本のデメリット
大部数が作れない
作れないこともないですが、自分で作業をするため、物理的に限界があります。キンコーズさんなどのコピー専門店では、仕上げまでされた状態で出てくることが多いですが、コンビニでのコピーの場合は、仕上げにステープラーでの製本作業があります。
また、古いタイプのコピー機では、ページごとに並べて揃えて製本、という作業をしなければいけないため、学校での文集を作るような作業をすることになります。
イベントが開始してからの会場製本は禁止されていることもあるため「会場入りして設営をしつつ製本もできる冊数」になってしまいます。人海戦術を取らなければ、多くの部数は作れないことが多いです。
また、物理的に会場に持って行くのが大変です。雨の日は厳重にビニールなどで包むなどの工夫をしましょう。
書店さんへ委託ができない
多くの書店さんでは、コピー本の委託は受け付けていません。そのため通販は、自家通販やpixivのBOOTHを利用することになります。現状、自家通販をおこなっているサークルさんは、書店利用に比べて多くはないため、コピー本=限定の希少本、というイメージになっています。(アリスブックさんはコピーでも受け付けているようです)
B5の本を作るとき一瞬戸惑う
B5の本を作るには、2つ折りにするためにB4の紙が必要です。自宅用のプリンターの多くはA4までの対応のものが多いため、1ページずつプリンターで印刷して切って貼って繋げて・・をと作業をするのは大変な手間がかかります。B5のコピー本を出すためには、以下の手順で作りましょう。
- 原稿を作る(一応自宅用のプリンターで縮小して確認推奨)
- PDFにまとめる(漫画はJPG/TIFFでもOKですが、バラバラより、まとめることをおすすめします)
- コンビニまたはコピー専門店で出力コピー
A5サイズの本であれば、自宅のプリンターで、表紙も本文も原本を用意することができます。しかしA5の本も、B5と同じく①~③の手順で出力コピーをしてしまえば手っ取り早いです。
また、自宅プリンターでインク代をかけるよりも、コンビニなどでコピーをした方が、結果的に安く仕上がることが多いです。コンビニが近くにある環境であれば、データができたらそのまま出力+コピーに行ってしまいましょう。
※カラーの表紙にしたい、というケースはこちらの項目で。
厚い本が作れない
基本的にコピー本は、ステープラーで綴じれるページ数が限界です。表紙も含めて32~40ページが上限でしょう。あまりに厚いものになると、綴じきれなかったり、小口をそろえる化粧裁ちが必要になります。
しかし、手間をかけることで厚い本も作れます。
大型ステープラーを使う
長い目で見て、毎回コピー本、毎回厚い本になりそうなのであれば、大型で中綴じのできるステープラーを購入しても良いでしょう。
綴じれても、前述のように、カッターなどで小口を揃えることが必要になってくることが多いです。※もちろん、気にならなければしなくてもOKです。
無線綴じをマスターする
背にボンドなどをつけて表紙でくるみ、重しをして製本をする無線綴じ(くるみ製本)をすれば、極端な話、何ページでも厚い本が作れます。少部数で、仕様をこだわりたい、好きに作りたい、オンデマンドではできないことをしたい、という人は自宅無線綴じ製本にチャレンジしてみるのもよいでしょう。
部数が増えてきたら、印刷所さんへ発注する「ステープル」という選択肢もあります。ペラ本・折り本・折り綴じ本と呼ばれるもので、比較的納期の短いものです(別記事にて紹介予定)
初めてのコピー本
大きさ・カラーなどの仕様を決めよう
- 大きさを決める・・A5サイズ B5サイズが主です
- カラーかモノクロかを決める・・表紙からすべてモノクロなのか、表紙はカラーにするのか決めましょう
- ページ数を決める・・この時点では決まらないことが多いので、ざっくりとでいいです
表紙はどうやって作ればいい?ー前準備
データの作り方は、基本的には、オフセットやオンデマンドの印刷用と変わりありません。CLIP STUDIOやAdobe Photoshopなどのドロー系ソフト、Word(持っていればInDesign)などで作ります。
後々のことを考えて、オフセットやオンデマンドと同じく、カラーであれば350dpi、モノクロは1200dpiで作るクセをつけておきましょう。セブンイレブンの公式サイトでは「72dpi以上あれば大丈夫」とのことですが、もしもこの原稿を、再録してオフで出そう、となった時に困ってしまいます。いったんプリントアウトしたものを高解像度でスキャンし、モワレに怯えながら印刷に出すことになります。(しかしそれはそれでOKです)
漫画であればクリップスタジオなどのマニュアルどおりに、指定のサイズ・背幅で作ります。コンビニの場合は、JPG/TIFFの他にPDFも受け付けています。しかしできるだけPDFが推奨なので、500円課金して、PDFに変換できるプラグインを用意しておきましょう。
印刷所さんで配布しているテンプレートをダウンロードできる環境であれば、そちらもおすすめです。慣れてくれば自作でももちろんOKです。
テンプレートは、印刷会社さん独自で用意していることが多いです。使いやすいと思った所のテンプレートを使用しましょう。背幅ごとに用意している場合と、すべての背幅に使用できるものがあります。
例:日光企画さんテンプレートB5・カラー用
例:BRO’SさんB5・カラー用テンプレート
まずはモノクロで作ってみましょう。今回は、印刷所さんのテンプレートで説明します。
コピー本を作る!モノクロ表紙+モノクロ本文
作りやすそうだなと思った印刷会社さんのテンプレートをダウンロードし、表紙を作ります。モノクロ表紙+モノクロ本文なので、まとめて出力・コピーができますが、まずいったん表紙だけプリントして説明をします。
一見何も問題無さそうですね。印刷屋さんに発注するぶんには、これで問題はありません。しかし、コピー本の場合は少し変わってきます。この時点でいったん保存をして、別名で保存したものを仕上がりサイズにトリミングして・・
コンビニやコピー専門店で「原寸」モードで出力をすると・・
これは、印刷範囲によるもので、コピー機を使用したり家庭用プリンターでプリントしたりするケースでは、どうしようもないことです。しかし、こうならないようするためには4つの選択肢があります。
- 「おまかせ縮小モード/印刷範囲内におさめてくれる」があればそれに頼る(余白は出る)(おすすめ)
- 天地左右部分は切れても支障ないデザインにしておく
- 仕上がってから余白をカッターなどで裁ち落す(大変)
- この印刷範囲内におさまる小さめのサイズで原稿を作って原寸で出力する
今回はとりあえず、①の「お任せ縮小モード」で進めます。これをプリントすると、無事に(天地左右白は出ますが)欲しい部分が切れずに印刷されます。しかし「お任せ縮小」にもリスクがあります。それは、下の「本文」で解説します。
このままでもいいですし、余白が気になる人は、③のように、製本まですべて済んでから三方をカッターで切り落とせば綺麗におさまります。
実は、それも大いにありです。
- どうしても、天地左右まできっちり絵を出したい!
- だけど大きめサイズでプリントしてトンボでカットするのはめんどくさい!
- ジャストサイズでプリントして余白をカットするのもめんどくさい!
- もうちょっとしっかりした紙で表紙を作りたい!
という時は、日曜のイベント合わせでこの時点でまだ月曜くらいであれば、思い切って印刷に出してしまいましょう。